毎日少しずつ。忙しい人のための「趣味習慣」の作り方
多忙な日々でも、趣味の時間を「特別」にしない
仕事に追われる毎日で、「自分の時間」を確保することが難しいと感じている方は少なくありません。特に40代ともなると、責任ある立場に就き、業務に加えてマネジメントやキャリア形成についても考える必要が出てきます。このような状況では、趣味に充てる時間は後回しになりがちです。
趣味は、日々のストレスを軽減し、心身をリフレッシュさせる大切な要素です。しかし、「まとまった時間が取れない」「疲れていて、新しく何かを始める気力がない」といった理由で、趣味から遠ざかってしまうケースが見受けられます。
趣味の時間を確保できない理由の一つに、「趣味は特別な時間であるべき」という無意識の思い込みがあるかもしれません。「この趣味をやるなら、しっかり準備して、最低でも〇時間は確保しないと」と考えてしまうと、日々の多忙さの中では実行が難しくなります。
そこで提案したいのが、「趣味を特別な時間ではなく、日々の習慣の一部にする」という考え方です。歯磨きや食事のように、生活の一部として自然に組み込むことで、無理なく、そして継続的に趣味を楽しむ道が開けます。
なぜ趣味を「習慣」にすると良いのか?
趣味を「習慣化」することには、多忙な日々を送る方にとって多くのメリットがあります。
まず、時間的なハードルが下がります。「〇時間確保する」といった大きな目標ではなく、「毎日たった5分だけ」のように小さな単位で取り組めるため、忙しい日でも実行しやすくなります。
次に、心理的な負担が軽減されます。「今日は疲れているからやめておこう」と挫折しがちな状況でも、「いつもの習慣だから、少しだけやってみようか」と気軽に始めることができます。完璧を目指さず、とにかく続けることに焦点を当てるため、プレッシャーを感じにくいのです。
さらに、習慣として定着すれば、意識しなくても自然と行動に移せるようになります。時間管理に頭を悩ませる必要がなくなり、他のタスクとの両立も容易になります。
趣味を「習慣化」するための具体的なステップ
趣味を日々の習慣として定着させるためには、いくつかの具体的なステップがあります。どれも特別な道具やスキルは不要で、すぐにでも試せるものばかりです。
ステップ1:最小限の「小さな目標」を設定する
まずは、無理なく毎日続けられる最小限の目標を設定します。例えば、読書なら「1日1ページだけ読む」、語学学習なら「アプリで5分だけ学習する」、楽器演奏なら「コードを一つだけ練習する」といった具合です。大切なのは、「これならどんなに忙しくてもできそうだ」と思えるレベルまでハードルを下げることです。
ステップ2:「トリガー(きっかけ)」を決める
習慣化には、「この行動の後に趣味の時間を取る」といったトリガーを設定するのが効果的です。例えば、「帰宅して着替えた後」「夕食後」「寝る前」など、既に習慣になっている行動の直後に趣味の時間を組み込みます。これにより、「〇〇をしたら次は趣味の時間」と、自然な流れで行動できるようになります。
ステップ3:「場所と時間」を固定する
可能な範囲で、趣味に取り組む場所と時間を固定します。いつも同じ場所、同じ時間帯にすることで、脳がその行動パターンを認識しやすくなります。例えば、「平日の朝食前にダイニングテーブルで」「夜寝る前にベッドサイドで」など具体的に決めます。
ステップ4:記録をつけるか「見える化」する
簡単なチェックリストを作成したり、習慣化支援アプリを利用したりして、取り組んだ日を記録します。毎日チェックが入ることで達成感が得られ、継続へのモチベーションにつながります。記録が難しい場合は、趣味に関連する道具をすぐに手に取れる場所に置いておくなど、「見える化」するだけでも意識付けになります。
ステップ5:完璧を目指さず、中断しても気にしない
習慣化の過程で、忙しさや体調不良により実行できない日があるのは自然なことです。そのような場合でも、「できなかった」と落ち込むのではなく、「明日は再開しよう」と軽く受け流すことが重要です。一度中断しても、習慣が途切れたわけではありません。すぐに再開することを目標にしましょう。
「趣味習慣」におすすめの手軽な趣味アイデア
習慣化しやすい趣味は、短時間で完了でき、中断・再開が容易なものです。以下にいくつかのアイデアを挙げます。
- ストレッチや簡単な筋トレ: 数分で心身がリフレッシュできます。
- 短い読書: 通勤中や休憩時間に1ページでも読む習慣。
- ジャーナリング(書く習慣): その日の出来事や感じたことを数行書き出す。
- 語学学習アプリ: 毎日の短いレッスンを習慣にする。
- 音楽鑑賞: 好きな曲を1曲だけ聴く時間を作る。
- 写真整理: スマートフォンで撮った写真を数枚整理する。
- 塗り絵やパズルアプリ: デジタルで手軽に楽しめる。
これらはあくまで一例です。大切なのは、「自分が楽しい」「これなら無理なく続けられそう」と感じるものを選ぶことです。
継続のための心構えと工夫
趣味を習慣として根付かせるためには、いくつかの心構えや工夫が役立ちます。
成果を急がないことです。趣味は楽しむことが目的であり、上達や完成を義務付ける必要はありません。日々少しずつ取り組むこと自体を楽しむ姿勢が大切です。
また、趣味に関連する準備や後片付けのハードルを下げることも効果的です。例えば、読書なら本を常に手元に置く、絵を描くならペンとスケッチブックをすぐに使える状態にしておくなど、行動に移るまでの手間を最小限にします。
もし可能であれば、同じ趣味を持つ仲間とゆるやかにつながることも継続の助けになります。お互いの進捗を共有したり、情報交換をしたりすることで、モチベーションを維持しやすくなる場合があります。
まとめ:小さな習慣で、日々に彩りを
忙しい日々の中で趣味の時間を確保するのは容易ではありません。しかし、「趣味は特別なもの」という考え方から離れ、「日々の小さな習慣」として捉え直すことで、無理なく、そして継続的に楽しむ道が開けます。
「最小限の目標設定」「トリガーと場所・時間の固定」「記録や見える化」「完璧を目指さない」といったステップを参考に、まずは一つ、小さな「趣味習慣」を始めてみることからおすすめします。毎日少しずつの積み重ねが、やがて心豊かな時間へとつながっていくでしょう。