仕事の「段取り力」を趣味に転用。多忙な毎日でも時間を創る実践ヒント
多忙な日々を送る中で、「自分のための時間」を持つことの難しさを感じている方は少なくありません。特にビジネスの現場で管理職などの責任ある立場にある方ほど、仕事のタスクに追われ、趣味の時間は二の次になってしまいがちです。
一方で、仕事においては、目標達成のためにタスクを細分化し、優先順位をつけ、効率的に進める「段取り力」を駆使していることと思います。この、仕事で培った段取り力を、趣味の時間確保や充実に応用することが可能です。本記事では、仕事で鍛え上げられたスキルを趣味の時間に活かす具体的な方法をご紹介します。
なぜ仕事の段取り力は趣味に活かせるのか
仕事における段取り力とは、目標達成に向けてやるべきことを明確にし、順序立てて効率的に実行する能力です。プロジェクト管理、スケジュール調整、リソース配分など、多岐にわたる要素が含まれます。
しかし、こと趣味となると、私たちはこの段取り力を忘れがちです。仕事のように明確な締め切りや評価がないため、つい「時間ができたらやろう」と後回しにしてしまったり、「完璧に準備してから」と考えて一歩を踏み出せなかったりします。結果として、趣味は緊急度の低いタスクとして認識され、忙しさの中で埋もれてしまうのです。
そこで、仕事で当たり前のように行っている段取りの考え方を、趣味の時間に意図的に転用します。趣味を「後回しにするもの」ではなく、「計画的に楽しむもの」と位置付けることで、多忙な毎日の中に無理なく組み込む道が開けます。
仕事の段取り力を趣味に転用する具体的なステップ
仕事のプロジェクトを進めるように、趣味もいくつかのステップに分解して計画してみましょう。
ステップ1：趣味の「タスク」を細分化する
まずは、取り組みたい趣味を構成する小さなタスクに分解します。例えば、「読書」を趣味にする場合：
- 読みたい本を選ぶ（情報収集、書店に行く、ネットで購入）
- 本を読む時間を作る（いつ、どこで、どのくらいの時間読むか）
- 実際に読む
- 読んだ内容を記録する、感想をまとめる
このように、一つの趣味を具体的な行動レベルまで分解することで、必要な時間や労力がより明確になります。
ステップ2：必要な「時間」を見積もる
細分化した各タスクに、どのくらいの時間が必要か見積もります。仕事のタスクと同じように、少し余裕を持って見積もるのがポイントです。
- 本選び：ネットでレビューを見るのに15分、書店に寄るのに30分
- 読む時間：1日に15分または30分
- 記録・感想：読了後に10分
見積もりを立てることで、「このスキマ時間で何ができるか」が見えてきます。
ステップ3：優先順位と実行可能な範囲を決める
見積もったタスクの中から、「今日できること」「今週できること」など、実行可能な範囲で優先順位をつけます。仕事の緊急度・重要度マトリクスを参考に、「いますぐやらなくても良いが、やると充実感が得られるタスク」として趣味を位置付け直します。
最初は小さなタスク（例：次の読みたい本をリストアップする）から始めるのが負担が少なくおすすめです。
ステップ4：具体的な「スケジュール」に落とし込む
ステップ3で決めたタスクを、実際のスケジュールに組み込みます。仕事の会議や他の予定と同じように、カレンダーやToDoリストに書き込みます。
- 「今日の通勤電車（15分）で読書」
- 「水曜日のランチ後（10分）に、気になる本のレビューチェック」
- 「土曜日の朝食後（30分）に読書時間を確保」
このように具体的な時間と場所を紐づけることで、実行に移しやすくなります。仕事で使っているスケジュール管理ツールをそのまま趣味にも活用するのが効率的です。
ステップ5：進捗を「確認」し、計画を「修正」する（PDCA）
仕事と同様に、計画通りに進んでいるか定期的に確認します。もし計画通りに進まなくても、自分を責める必要はありません。なぜ難しかったのか原因（見積もり時間が甘かった、突発的な仕事が入ったなど）を分析し、次の計画に活かします。
計画通りに進まなかったタスクは、リスケジュールするか、さらに小さなタスクに分解し直します。このPDCAサイクルを回すことで、無理のない、自分に合った趣味の楽しみ方が見つかっていきます。
段取り力を活かす実践的なヒント
- 完璧を目指さない「最小限の段取り」で始める: 最初から壮大な計画を立てる必要はありません。例えば、「週に1回、好きなことについて15分だけ調べる時間を設ける」といった、実現可能な小さな段取りから始めましょう。
- 仕事で使うツールを趣味にも活用: カレンダーアプリ、タスク管理ツール、メモアプリなど、仕事で慣れているツールを趣味の計画にも利用すれば、新しいツールに慣れる手間が省けます。
- 「スキマ時間」を見つける達人になる: 移動時間、待ち合わせの時間、休憩時間など、仕事の合間に生まれる数分〜数十分のスキマ時間は宝の山です。ここで何をするかを段取りしておけば、無駄なく趣味の時間に充てられます。（例：「移動中はオーディオブックを聴く」「待ち時間には趣味関連の情報サイトをチェックする」）
- 家族や周囲と段取りを共有: 家族と協力して趣味の時間を確保したい場合、週末の予定などを事前に段取りして共有しておくと、お互いに気持ちよく時間を使えます。
まとめ
多忙な毎日の中で趣味の時間を確保することは、決して簡単ではありません。しかし、仕事で培った「段取り力」は、この課題を解決するための強力な武器となります。
趣味を小さなタスクに分解し、時間を見積もり、スケジュールに組み込む。そして、実行と改善を繰り返す。この仕事で当たり前に行っているプロセスを趣味に適用することで、これまで「時間がなくてできない」と思っていたことも、計画的に実現できるようになります。
段取り力を活かして趣味の時間を創り出すことは、単に時間を作るだけでなく、趣味への取り組み方に規律と達成感をもたらし、より深く趣味を楽しむことにも繋がります。ぜひ今日から、小さな「趣味の段取り」を始めて、あなたの毎日をさらに豊かなものにしてください。